1970年
いわさきちひろさんの遺品 カネボウ ソワドレーヌ リップスティック ユリ 003
撮影 石内 都 <1974.chihiro #1> 2019年 ©Ishiuchi Miyako
写真の口紅は、日本を代表する絵本画家、いわさきちひろさん(1918-1974)の遺品を写真家の石内都さん(1947- )が作品として撮影したものです。
この口紅は、カネボウ化粧品が発売した「ソワドレーヌ リップスティック ユリ」という製品でした。この製品の発売年からちひろさんのご逝去年まではおよそ4年間。その中のある期間に、この口紅がちひろさんの鏡台に置かれていたということになります。
この製品が発売された1970年、カネボウは「メタモルメイク(変身メイク)」というキャンペーンを展開していました。それは、単なる変身ではなく、「自分らしさ」を一番大切にした新しい自分の演出を提案するものでした。そして、そのメイクアップ製品の主役格が、この口紅だったのです。
ちひろさんがそのキャンペーンテーマに共感されてご愛用いただいたのかどうかはわかりませんが、この遺品の口紅の中身はほとんど残っていなかったそうで、それから推測すると、とてもお気に入りの口紅だったのではないでしょうか。
平和で、豊かで、美しく、可愛いものがほんとうに好きだった、いわさきちひろさん。それを守ろうとするメッセージを絵本を通じて、たくさん世に残してくださいました。そんなステキなちひろさんに選んでいただけた「ソワドレーヌ リップスティック ユリ」は、写真家石内都さんの作品として甦り、ちひろ美術館に展示されます。
(参考)ソワドレーヌのネーミングの由来カネボウの祖業である絹紡績にちなみ、「女王の絹」という意味の「Soie de reine」(フランス語)と名付けられました。高品質なシルクが持つ優雅さをイメージしたネーミングです。
都とちひろ
ちひろ美術館・東京 主任学芸員 上島史子
ちひろ美術館のコレクション作品の総数は、 約27,200点を数え、絵本の専門美術 館としては世界最大規模を誇ります。今 回特別に、いわさきちひろ作品研究の第 一人者である学芸員の上島史子さんか ら、ちひろ先生と石内都展についてのお話をご寄稿いただきました。 ぜひ、ご一読ください。
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ソワドレーヌのブランドエンブレム
同ブランドのアイメイク製品の容器に施された立体の西洋唐草。中央にはホログラムが輝いています。
ソワドレーヌのブランドエンブレム
同ブランドの製品の外箱に施されたゴールドの西洋唐草。「リップスティック ユリ」の容器にもこの西洋唐草がシルバーで施されています。
レーヌ リップスティック ユリ
この製品は、1968年、パリ研究所との共同開発により、国産初のモイスチャータイプの口紅として登場し、話題を呼びました。この後継がソワドレーヌ リップスティック ユリでした。
1936年
事業によるサステナビリティへの貢献
~化粧品事業創成の思い~
1938年
化粧品とシルクの出会い
~カネボウ化粧品のモノづくり~
1956年
第一次南極観測隊の携行品
~隊員の皆さんのお肌を守る化粧~
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機能性ファンデーションの開発
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1962年
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1964年
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1969年
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~新進気鋭の女流書家とのコラボ~
1970年
絵本画家 いわさきちひろの愛用品
~カネボウ ソワドレーヌ リップスティック ユリ~
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ブランドプロモーションとパーパス・ドリブン・ブランディング
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1991年
LOHASなブランド
~カネボウ EC~