story62

あの時、声をかけてくれて本当にありがとう!

「おばあちゃん見て!かわいいよ」――ある日、アイシャドウのテスター(見本品)を見て駆け寄ってきた小さな女の子。あとから来たおばあさまが「○○ちゃんにはまだ早いでしょ」とそれに触らせないように手を引いたのですが、女の子は「私のじゃなくて、おばあちゃんの。なんでおばあちゃんはお化粧しないの?」と、その場から動こうとしません。そこでおばあさまが「こんな日やけしたひどい顔にお化粧なんかしたら、おばけみたいで笑われちゃう」と答えると、女の子は不満そうにポツリと「そんなだから可愛くないんだよ」。その言葉に、それまでやさしい笑顔だったおばあさまの表情が苦笑に変わりました。

この光景を見た私が、「よろしければ自然な感じにメイクアップしてみませんか」とお誘いしたところ、「今日は時間がないから」とのお返事。それでも、お孫さんに浴びせられた言葉に少し凹んでしまったおばあさまの心情を思うと居ても立ってもいられず、立ち去る後ろ姿を追いかけ、「ぜひ、時間のある時にまたいらしてください」と言ってお見送りしました。

すると数日後、おばあさまが「せめてこれ以上黒くならないよう、日やけ止めをつけようと思って」とご来店くださいました。お話を伺うと、野菜作りで日中のほとんどを外で過ごすため、どうしても日やけしてしまうとのこと。そこでまず、おばあさまのお肌に合った日やけ止めを選び、おすすめしました。そして、先日できなかったメイクアップにお誘いすると、今度は快く受けていただけました。ご要望をいろいろ伺いながら仕上げたところ、何度も鏡を見ては「嬉しい!やってもらってよかった」ととびっきりの笑顔で喜んでくださいました。

あの時、あなたが追いかけて来て声をかけてくれたおかげ。でなきゃ、またここに寄ろうとは思わなかった。これで孫がかわいいってほめてくれるかね。本当にありがとう!

そういって、カネボウコーナーを後にされました。

後日、今度はまたお孫さんと一緒にご来店くださいました。お二人揃って笑顔でアイシャドウを選ぶご様子を拝見し、心が温まりました。これからもお一人おひとりのお客さまとの出会いを大切にしていきたいと思います。

語り手 Y.T./BC(ビューティカウンセラー)
関越 BC歴11年