story44

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今日、思い切って声をかけてよかった

「すみません」という男の人の声に振り向くと、一組のご夫婦がいらっしゃいました。
「眉が描きにくくて困っているのですが、どうしたらうまく描けますか?」とご主人がお尋ねになりました。私は奥さまがご自身で描かれるのかと思いましたが、そうではありませんでした。
奥さまはご病気のため、話すことやお化粧をすることが困難なので、毎日、ご主人が奥さまにお化粧をされているそうで、特に眉の描き方が難しくて、悩まれた末にご来店いただいたということでした。

私は喜んで、ご主人に眉の描き方をアドバイスさせていただきました。
ご来店時には無表情に見えた奥さまでしたが、私の説明を真剣に聞いて練習されるご主人の姿を見て、表情が次第に柔らかくなっていきました。そして、そんな奥さまをご覧になったご主人もホッとしたような笑顔に。
白髪混じりのダンディなご主人と、きれいな奥さまの幸せそうなご様子に私までほっこりと温かい気持ちになりました。

帰り際にご主人が、「実は化粧品コーナーに立ち寄ることは気が引けて、なかなか声をかけることができなかったんです」とお話してくださいました。そのうえで、

「でも、今日はあなたに思い切って声をかけて本当によかった!」

と、こちらが恐縮してしまうほど丁寧にお礼を言ってくださり、さらに店を出るときにもお二人揃って笑顔で振り返ってくださいました。

奥さまに対するご主人のまっすぐな愛情に感動して、これからもお二人が元気で幸せに過ごせるようにお手伝いしていきたいという気持ちでいっぱいになりました。
人を想い、寄り添うことの大切さをお客さまから教えていただいた一日でした。

語り手 Y.M./BC(ビューティカウンセラー)
チェーンドラッグ所属 BC歴4年