story30

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あなたとメイクから元気をもらえた

月に3回はご来店くださるお客さま。ショートカットに映える色白の肌、ニコニコの笑顔にメイクがいつも素敵で、カネボウ化粧品をご愛用いただけて嬉しく思っていました。ところが、そんなお客さまがもう3ヶ月もお見えになりません。

心配をしていた矢先に、久しぶりにそのお客さまが店にお立ち寄りくださいました。でも、ご様子を拝見して、何かあったことがすぐにわかりました。お痩せになったことが一目瞭然で、表情にも隠しきれない疲れの色。お客さまは、「実は母が亡くなって・・・」とポツリ。目をうるませながら、食事も喉を通らないことや、とてもじゃないけれど、お肌のお手入れやメイクをする気分になれなかったことを話してくださいました。
そのお気持ちが手にとるように伝わってきて、「辛かったですね、でもお身体だけはどうか大事になさってくださいね」と返すのが精一杯でした。

「でも、今日は久しぶりに外に出てみようと思って!」というお客さまの気丈な言葉にハッとして我に返り、お客さまが元気に見えるように赤い口紅とチークをご提案しました。
紅をさし、チークで頬に赤みを足すと、鏡の中のお顔から余分な力が抜けていくように見え、こわばっていた表情に少し笑顔が戻ってきたのでした。

「今日は来てよかったわ、こんなに気分が変わるなんて。あなたと、このメイクから元気をもらえたのね」

最初と比べて、だいぶ穏やかな表情でそう言っていただけたので、ホッとしたと同時にメイクの力を改めて実感しました。

その後、お客さまは、以前と同じニコニコの笑顔、以前と同じペースでご来店くださっています。その時の、赤い口紅とチークをつけて。

語り手 A.F./BC(ビューティカウンセラー)
百貨店勤務 BC歴8年