story20

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お母さん、喜んでくれるかな

ある日、店頭ポスターをじっと眺めている女の子がいました。まだ小学生のようで表情にはあどけなさが残っていましたが、あまりに熱心に眺めているので、メイクに興味があるのかなと思い、「なにかお探しですか?」とお声がけしました。

すると、女の子は、顔を赤くして恥ずかしそうにうつむいて、黙ったまま1万円を握りしめた手を差し出しました。それから、意を決したように顔をあげて、「お母さんの誕生日プレゼントを選びたいの」と言いました。
あるとき、お母さまが「アイシャドウが素敵ね」と言いながら、ポスターのモデルを眺めていたのを見て、いつかそのアイシャドウをプレゼントして喜ばせたいと、お小遣いを毎月少しずつ貯めてきたとのことでした。私は、お母さまを思うその気持ちをぜひ応援したいと思い、お母さまの年齢やお顔立ちなどを聞きながら、アイシャドウ選びのお手伝いをいたしました。

1時間ほどかけて選び終えると、とてもうれしそうな笑顔で、

「お母さん、喜んでくれるかな。モデルさんみたいにキレイになったらいいな」

と、そのアイシャドウを大切そうに持って、お帰りになりました。

数日後、今度は、その女の子とお母さまが一緒にお店にいらっしゃいました。
「先日は、娘と一緒にアイシャドウを選んでくださってありがとう。親身になって、いろいろ話を聞いてくださったと娘から聞きました」と、お礼のためにご来店くださったのです。そのときに選んだアイシャドウでメイクしたお母さまの横で、ニコニコと満足そうな笑顔の女の子。お二人の様子から、一緒にお選びしたアイシャドウが、お母さまと女の子の心に一生残る素敵な思い出を作ってくれたのだと感じ、心からよかったと思いました。

語り手 H.S/BC(ビューティカウンセラー)
ドラッグストア課 BC歴 2年11ヶ月(当時)