Kanebo 価値創成研究所・スキンケア研究所・メイクアップ研究所
研究開発理念 価値創成研究 スキンケア・メイクアップ研究 安心への取組み 技術発表レポート
技術発表レポート
2006年 1月|2月|3月|4月|5月6月7月|8月|9月10月11月|12月
2006年11月
香りのイメージを感性的に表現することが可能に
感性パラメータによる香りの評価 日本心理学会
私たちは香りをかいだ時に、どこか懐かしいと感じたり、幸せな気持ちになったり、または、なんとも言えない言葉では説明できないような気分になることがあります。カネボウ化粧品では東京電機大学との共同研究で、香りのもたらす言葉では言い表すことの難しい感情を、色と図形で成り立っているオブジェクト(感性パラメータ)で表現する手法を開発しました。この手法で様々な香りについて評価したところ、言葉を使用した香り評価に比べて、より詳しく分類ができる可能性がわかり、さらには、香りをかいだ時の感性を色と図形で表される1つのオブジェクトとして表現できる可能性が示唆されました。この手法をさらに研究することで、実際にお店で香りをお試しすることができない商品の香りや、言葉では伝えきれない香りイメージを、最適なビジュアルでお伝えすることが可能になるのではと考えています。
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2006年10月
ヒトの皮膚を傷つけることなく皮膚内部(表皮・真皮上層)の水分分布を測ることに成功
Comparison of the water content in the skin between young and old human skin using in vivo confocal Raman spectroscopy
2006 US Symposium of the International Society for Biophysics and Skin Imaging (ISBS 2006)
近年、in vivo共焦点ラマン解析装置の開発が進み、ヒトの皮膚を傷つけることなく皮膚内部の水分量計測が可能となっています。しかし、これまでは皮膚最表層(角層近辺)までの計測に限られ、表皮、真皮の水分分布は計測できていませんでした。カネボウ化粧品では、本装置を開発したオランダ River Diagnostics社と共同研究を行うことにより計測手法の改良を進め、角層だけではなく、さらに皮膚内部の表皮・真皮上層にいたるまでの水分分布を計測することに成功しました。また、今回行ったこの研究発表については、皮膚計測研究に特化した学会(ISBS 2006)においてベストポスター賞を受賞するという栄誉を得ました。当社は皮膚内部の“水の流れ”に着目したスキンケア研究を推進しております。今回の新規計測技術開発もあわせて推進していくことで、当社のスキンケア研究を多角的に進めていきたいと考えています。
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2006年10月
ヒアルロン酸は皮下組織においても重要な役割を担っている
脂肪細胞のヒアルロン酸マトリックス形成とその機能 日本肥満学会
生理的加齢や光加齢にともなう皮下組織の萎縮やたるみは加齢性顔貌の原因といわれています。そもそも皮下組織は、皮膚と筋肉を仲介し、外界からの刺激に対してクッションとして、あるいは滑走することにより組織を防御する重要な役割を担っています。今回、カネボウ化粧品は皮膚の表皮細胞や真皮線維芽細胞のみならず、皮下組織を構成する脂肪細胞も、ヒアルロン酸を合成していることを見出しました。また、脂肪細胞は皮膚の細胞とは比較にならない程大量のヒアルロン酸を細胞表面に保持しており、そのヒアルロン酸が、脂肪細胞の成熟化に重要な役割をもつ可能性が示唆されました。私たちは、今後もさらにヒアルロン酸に関する研究を進め、新たなスキンケアを提案していきたいと考えています。
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2006年9月
電子線回折により角層ラメラ構造の脂質分子パッキングが不均一構造をもつことを発見
電子線回折によるヒト皮膚角層細胞間脂質の構造解析 コロイドおよび界面化学討論会
皮膚表面の角層細胞同士の間は、セラミド、コレステロール、脂肪酸などの脂質から構成される多層構造(ラメラ構造)によって満たされ、皮膚のバリア機能を担っています。ラメラ構造は、垂直方向の構造(層構造)と水平方向の構造(脂質分子のパッキング)によりバリア機能を担っています。これまで、このような角層の微細構造は主にX線回折によって研究されてきましたが、この方法には多量の角層試料が必要であり、動物実験が主に研究対象となっていました。カネボウ化粧品と関西学院大学(理工学部、加藤知教授)は共同で電子線回折による角層ラメラ構造解析技術の確立を目指しています。本技術では、X線回折で不可能であったラメラ構造の水平方向構造の微小領域での解析が角層細胞1枚でも可能であり、サンプル量は非常に微量で行うことができるため、ヒト角層の解析も非侵襲的に実施可能です。今回、角層内のラメラ水平構造は一様ではなく、パッキング状態(脂質がつまって並んで、強度を保つ構造)が異なった領域がミクロンレベルで不均一に存在していることを発見しました。今後、この不均一性が角層バリア機能とのどのように関連するかを検討し、角層バリア機能の制御メカニズムをさらに検討していきます。
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2006年7月
溶液中での毛髪内部微細構造をありのままの状態で解析
Structural analysis of human hair in water solutions using micro-beam X-ray diffraction
国際小角散乱会議(Ⅷ International Research Conference on Small-angle Scattering)
(株)カネボウ化粧品・基盤技術研究所とカネボウホームプロダクツ(株)・ビューティーケア研究所は、(財)高輝度光科学研究センターと共同で、毛髪を溶液に浸した状態でキューティクル間の構造を解析する技術を開発しました。ヘアカラー、パーマ、コンディショナーなどヘアケア製品の多くは、溶液に毛髪を浸した状態で処理します。従って、ヘアケア製品に関連する毛髪構造の研究では、溶液に浸した状態で毛髪の構造を解析する技術が望まれていました。しかしながら、電子顕微鏡など従来の技術では測定環境が限定され、溶液に浸した状態での構造は測定できませんでした。今回、世界最高性能の大型放射光施設であるSPring-8のマイクロビームX線を利用することで、溶液に浸した状態で、キューティクル間に存在する細胞膜複合体の構造を測定することに成功しました。この測定で、毛髪への浸透促進剤が、細胞膜複合体を押し広げる役割を持つことを見出しました。今後この技術を、優れた成分をより効果的に毛髪内部へ浸透させるヘアケア製品の開発に応用していきたいと考えています。
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2006年6月
ファンデーションの色選びの難しさに立ち向かう
-仕上がりの色を予測する新技術の研究紹介 -

ファンデーションの塗布色の推定 日本化粧品技術者会
カネボウ化粧品では、ファンデーションを直接顔に塗らなくても塗った時の色が予測できる方法について、大阪電気通信大学と共同で研究を進めています。今回開発した予測法では、皮膚とファンデーションを半透明混濁物質とみなし、複雑な光の散乱経路を簡単な過程として捉えることのできるKubelka-Munkという数学的モデルを用いています。素肌の分光反射率とあらかじめ測定されたファンデーション自体の反射特性から、ファンデーションを顔に塗ったときの分光反射率を推定します。予測値の精度を確認するため、健常人の肌の中で、目立ったトラブルのない肌、赤みのある肌、色素沈着を起こした肌を対象に、実際に顔にファンデーションを塗った時の分光反射率を測定し、推定値と比較しました。その結果、推定された分光反射率と実際にファンデーションを顔に塗った時の分光反射率はほぼ一致し、提案した方法によりファンデーションを塗らなくても塗った時の色が推定できることがわかりました。今後、本研究の成果をお客様へのカウンセリングに活用すべく、応用研究を進めていく予定です。
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2006年5月
唇色の改善に関する研究
~「ゴールデンカモミールエキス」と「杏エキス」により健康的な美しい唇へと導きます!~

口唇内部構造と荒れが及ぼす口唇色への影響 中国化粧品学術検討会論文
唇は通常の皮膚とは異なった構造を有しており、カネボウ化粧品では唇特有の皮膚生理について研究を進めてきております。今回は、唇の色に影響を及ぼす因子を解明することを目的として、(1)唇の色と内部構造及び血流状態との関連性について、また(2)唇の色と唇荒れとの関連性について検討を行うと同時に、唇色の改善方法についても併せて検討しました。その結果、唇の赤みの個人差及び加齢に伴う唇色の変化には真皮乳頭構造(表皮との境にあり、皮膚表面に最も近く血液が流れる部位)が大きく関与しており、唇表面に対する血液の流れ方が唇色の見え方を決定している一因であることが明らかになりました。また、荒れを伴う唇では角層最外層の細胞が脱落せず、重層化することによって角層の光透過性が減少し、唇本来の色みを低下させることも明らかになりました。これらの結果から、唇色を改善する方法としては、(1)唇表面に流れている血液量を増やすこと、そのためには乳頭構造の影響についても考慮する必要があること、(2)唇表面の性状を整え、角層の光透過性を上げることが重要であると考えられます。次に、唇色の改善に有効な成分の検討を行った結果、杏エキスが唇荒れを改善し性状を整えること、ゴールデンカモミールエキスに血行促進効果があることが確認され、これらを口紅に配合することにより健康的な唇へ導くことが明らかになりました。
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2006年5月
中国人女性がスキンケア化粧品を使用した時の心理効果を明らかに
~好ましい化粧品の使用でポジティブ感情が向上するのは“日中共通”~

中国人女性におけるスキンケア化粧品の使用感と感情因子の関係 中国化粧品学術検討会
女性が化粧品を使用する際には、肌悩みの解消といった機能的な面だけではなく、化粧品を使用することによる快適感、リフレッシュ感、癒しなどの気分や感情を表す心理的な作用も重要な要素の一つと考えられます。今回、北京、上海に在住する20~40代の中国人女性を対象に、異なる感触タイプの乳液を試用した際に感じる感情状態を調べた結果、「快活・爽快、充実、安らぎ、優越」のポジティブ感情因子が抽出され、「抑鬱・動揺、羞恥、圧迫・緊張」のネガティブ感情因子は抽出され難い傾向となりました。また、乳液の嗜好性(好み)とポジティブ感情因子、ネガティブ感情因子は連動しており、好みが感情状態に影響を与えていることも明らかとなりました。(日本人女性でも同じ傾向が見られることが明らかになっています)また、事前アンケートの結果でも感触や香りでリラックスすることを期待していると回答した人は、北京で73.1%、上海で85.0%に達し、このことから中国でもスキンケア化粧品の感触や香りは重要であり、心理面に与える影響が強いこともわかりました。今回の結果から、好ましい感触によりポジティブ感情が表出するような化粧品を開発することが非常に重要であることが示され、今後の商品開発に応用していきたいと考えています。
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2006年5月
従来とは異なる皮膚バリア機能に着目
~皮膚タイトジャンクションへのアプローチの開始~

Effects of extracellular calcium level on functional tight junction formation in normal human keratinocytes 米国研究皮膚科学会
皮膚は外界からの異物の侵入を防ぎ、同時に皮膚内部の水分の流出を防ぐなど、生体にとって重要なバリア機能を担っています。この皮膚のバリア機能が崩壊することにより、乾燥、肌荒れ、さらには、炎症、痒みといった深刻な肌の悩みにつながります。これまで、皮膚のバリア機能は最も外側に存在する角層だけが担っていると考えられてきましたが、近年になって、細胞と細胞の間をシールする接着装置「タイトジャンクション」も皮膚のバリア機能にとって重要であることが分かってきました。今回、角層の内側に存在する表皮角化細胞を用いて細胞レベルで詳細に検証していくことにより、このタイトジャンクションの形成・崩壊の仕組みを明らかにしました(京都大学皮膚生命科学講座との共同発表)。この研究成果は、肌の悩みの解消に新しい改善アプローチを提案すると共に、アトピー性皮膚炎や乾癬といった重篤な皮膚病にとっても新しい臨床的アプローチを提案できると考えています。
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2006年3月
高い抗酸化効果とリラックス効果を併せ持つ花の香りを発見
-肌の抗老化を期待させる香り「ジュネッセンス」の開発に成功 -

Helichrysum stoechas花精油中の抗酸化ストレス成分の同定、抗菌性能とその生理的効果 日本薬学会
当社はこれまでにも、植物の香り成分の持つ生理的作用を研究し、「鎮静効果」、「覚醒効果」、「ストレス緩和効果」、「メラニン生成抑制効果」、そして「ヒアルロン酸合成促進効果」などの効用を発見し、化粧品に応用してきました。
今回は、老化の大きな要因となる「活性酸素」を抑制する天然精油の研究から、キク科の多年生植物「ヘリクリサム・ストエカス」(Helichrysum stoechas)が非常に高い抗酸化効果を有していることを発見しました。また、この天然精油に含まれ、高い抗酸化効果をもたらしている特定成分の解明を進めた結果、特に抗酸化効果に優れた成分「ジュネッセンス」を発見するに到りました。「ジュネッセンス」は、抗酸化効果があるといわれる精油・ローズマリーに比べても3倍以上の高い効果を有しています。
一方、「ヘリクリサム・ストエカス」は地中海沿岸に自生し、甘くスパイシーな香りを漂わせますが、この植物に含まれる「ジュネッセンス」のストレス緩和作用を調べた結果、この香りを嗅ぐと、副交感神経活性値の上昇がみられ、また、α波ゆらぎ係数がマイナス1に近づくことから、リラックス度が高まることが分かりました。
「ジュネッセンス」は高い抗酸化効果を持つと同時に、ストレスを緩和しリラックス感を与えてくれる香りでもあることから、「エイジングケア」が期待できる新しい時代の香りといえます。
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2006年1月
皮膚を傷つけることなく内部の3次元立体構造を画像化することに初めて成功
-新技術:高速光干渉断層計「波長走査型OCT」を応用-

Three-dimensional evaluation of in vivo human skin by spectral domain and swept source optical coherence tomograph
The International Society for Optical Engineering
当社・基盤技術研究所は、筑波大学・計算光学グループとの共同研究により、高速光干渉断層計「波長走査型OCT」を用い、皮膚内部の構造を実用レベルで3次元画像化すると同時に、新しい構造を認識する計算手法により、皮膚を部位ごとに分離して定量的に解析することに成功しました。 光干渉断層画像化法は光が対象物に入り、帰ってきたときの光(散乱光)変化を解析し、いわば対象物のレントゲンのような像を作成する技術です。筑波大学計算光学グループは散乱光をさらに高速にデータ取得、処理する技術を開発し、非侵襲的に対象物の内部構造を見る技術革新に挑戦しています。
私たちはこの高速化光干渉断層画像化法を皮膚に適応し、毛漏斗部(毛穴の一部で、ニキビや皮脂線の活動に関係している)も含めて皮膚内部の3次元立体構造を画像化すると同時に、表皮、真皮、毛漏斗部の立体形態を別々に取り出すことに世界で初めて成功しました。 この研究成果により、人の皮膚を傷つけることなく内部の立体構造を解析することが可能になるため、例えば、スキンケア化粧品使用前後における皮膚内部の変化を、メスを使わずに実際に人を対象として調べることができるようになり、今後の化粧品や有用成分の開発に大きく貢献できると考えています。
⇒基盤技術研究例としてより詳細に紹介しています。
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